菊千代の叫び

祈り届かず。後藤さんの悲報。。
人間、遣り場のない激情を抱えると何かを吐き出さずにはいられないもので。。
それは雷親父のように目の前のちゃぶ台をひっくり返すレベルではなく、もっと根底にある訳のわからない(分かりたくもない)社会の歪んだものに向かった時、どうすればいいのでしょう。
私の中にずーっと浮かんでいるのは、『七人の侍』の映画の中の最も激しく最も鮮烈な菊千代の叫びでした。。

自分の出生を偽って七人の侍の仲間に加えられた浪人風情の男・菊千代(三船敏郎)。
野武士達の攻めから村を守るために侍を七人雇った百姓達。
しかし、その村の家々には落武者狩りで手に入れた鎧や刀が大量に隠されてあり、それを見つけ出した菊千代は『上物だぜ!』と嬉々として侍たちに見せつけます。
落武者狩りに遭ったことのある侍たちは絶句。菊千代に対して憤りを滲ませます。

そこで吐き出される菊千代の強烈な台詞。



『はっはっは・・・こいつぁいいや!
やい!お前たち!一体百姓を何だと思ってたんだ?
ホトケ様だとでも思ってたか?ん?
笑わせちゃいけねえや!百姓くらい悪ずれした生き物はねえんだぜ!

米出せっちゃ無え!麦出せっちゃ無え!何もかも無えっつんだ!ふん!
ところがあるんだ。何だってあるんだ。。
床下ひっぺがして掘ってみな!そこになかったら納屋の隅だ!
出てくる出てくる・・・瓶に入った米!塩!豆!酒!山と山の間に行ってみろ!そこには隠し田だ!

正直ヅラしてペコペコ頭下げて嘘をつく!
何でもごまかす!
どっかに戦でもありゃあすぐ竹槍つくって落ち武者狩りだ!
よく聞きな!百姓ってのはな、けちんぼで、ずるくて、泣き虫で、意地悪で、間抜けで、人殺しだ!ちきしょう!おかしくって涙が出らあ!

だがな、そんな「ケダモノ」をつくったの、一体誰だ? お前たちだよ!
侍だってんだよ!馬鹿野郎!

戦の度に村を焼く!田畑踏ん潰す!食い物は取り上げる!人夫にコキ使う!女は犯す!手向かや殺す!
一体百姓はどうすりゃあいいんだ!百姓はどうすりゃあいいんだ、百姓は・・・
ちきしょう・・・・ちきしょう・・・!』


------------------------------------------------

、、、実は百姓の生まれだった菊千代。その刹那、侍達との間に流れる遣り場のない無常感。
この底無しの無常感こそ、今も昔も変わらない(というより、まさに今、世界で起きている)ありとあらゆる〈歪んだパワーバランス〉による残酷な犠牲を示しているように感じられて仕方ありません。





ジャーナリスト 後藤健二さんは、そのような〈歪み〉によって引き起こされている現状を発信して来ました。その想いが少しでも多くの人々の心に届きますように。
心よりご冥福をお祈り致します。

INDEPENDENT PRESS
リンク先は後藤さんのWebサイトに掲載された2004年11月の投稿記事です。



Related Entries
  • COMMENT:0
  • TRACKBACK:0

0 Comments

Post a comment